人気ロックバンドASIAN KUNG-FU GENERATION(アジカン)のフロントマンである後藤正文さんが、過去に「あべしね」と発言したとされる問題が、2025年5月30日現在もなお、SNSなどを中心に定期的に炎上し、多くの議論を呼んでいます。この騒動は一体いつ、どこで、何があったのでしょうか?そして、後藤さんの政治思想が「左翼」と評されるのはなぜなのでしょうか?
この記事では、多くの人が疑問に思うこれらの点について、以下のポイントを中心に情報を網羅し、騒動の核心と背景にある後藤さんの思想、そしてネット上での様々な反応について深く掘り下げていきます。
- 「あべしね」炎上騒動の具体的な経緯と、なぜ今も再燃するのか、その理由。
- 謎の覆面バンド「エセタイマーズ」とは何者で、誰が関わっているのか、その正体と活動内容。
- 後藤正文さんの政治的なスタンスや具体的な発言内容、そして「左翼」とされる思想背景の真相。
- この問題に対するネットユーザーの多様な意見やコメントの分析と、現在の後藤さんの活動。
- 人気漫画『ぼっちざろっく』との関連で話題になった出来事とは何だったのか。
これらの情報を丹念に追うことで、アジカン後藤正文さんの言動や音楽活動、そして彼を取り巻く状況に対する多角的な理解を深めることができるでしょう。また、現代社会における表現の自由と、その言葉が持つ責任について改めて考える機会となることを目指します。
1. アジカン後藤正文の「あべしね」炎上騒動が再燃?なぜ今注目されるのか
ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんによる過去の「あべしね」発言は、一度ならず何度もネット上で再燃し、物議を醸しています。このセクションでは、なぜこの古い騒動が2025年の現在においても人々の関心を引きつけ、議論の的となるのか、その具体的なきっかけや背景にある要因を詳細に解説します。特に、SNSでの投稿や人気カルチャーとの関連性が、どのようにして過去の出来事を再び現代の話題へと押し上げているのかを掘り下げていきます。
1-1. 2025年のX(旧Twitter)投稿がきっかけ?いつ、誰が何を発信し再燃したのか
2025年に入り、ソーシャルメディアプラットフォームX(旧Twitter)上で、あるユーザーの投稿がきっかけとなり、アジカン後藤正文さんの「あべしね」発言騒動が再び注目を集める事態となりました。この投稿は、2014年9月23日に開催された「さようなら原発全国大集会」において、後藤さんが参加した覆面バンド「エセタイマーズ」が「あべしね」と連呼する楽曲を演奏した件に言及したものでした。
具体的には、「昔大好きだったアジカンがいつの間にか『安倍◯ね』なんて歌うような人になってて普通にダサくてガッカリした。今でも何故か神宮外苑再開発に反対してたりして謎。」といった内容のポストでした。この投稿は多くのユーザーの目に触れることとなり、過去の出来事を知らなかった層や、改めてこの問題に関心を持つ層の間で瞬く間に拡散されました。その結果、後藤さんの過去の言動や政治的スタンスに対する賛否両論が再び活発に交わされることになったのです。
この再燃は、特定の投稿だけでなく、社会的な出来事や他の著名人の言動と関連付けられる形で、周期的に話題が再浮上する傾向があることを示しています。特に、政治的なテーマや表現の自由といった普遍的な問題に触れるため、時代を経ても人々の関心を呼び起こしやすい側面があると考えられます。
1-2. 人気漫画『ぼっちざろっく』での安倍元首相モノマネネタとは?何があったのか詳細解説
アジカン後藤正文さんの名前が予期せぬ形でクローズアップされたもう一つの出来事として、人気漫画およびアニメ作品である『ぼっち・ざ・ろっく!』に関連する話題が挙げられます。『ぼっち・ざ・ろっく!』の主人公「後藤ひとり」の名前やキャラクター設定の一部が、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんをモデルにしているのではないかとファンの間で囁かれていました。
そうした中、作中で主人公の後藤ひとりがスピーチを行う場面で、安倍晋三元首相のスピーチの際の独特な口調や仕草を真似るような描写があったとして、一部で話題となりました。具体的には、「あっはい!10億かかってる、プレッシャーの中でのライブだったのですが、(ここで一呼吸)スゥーッ皆さんのお陰で良いものになったと思います(水を飲む)」というセリフ回しや行動が、安倍元首相が行っていたスピーチの特徴を捉えていると指摘されたのです。
この描写が意図的なパロディであったのかどうかは公式には明らかにされていませんが、アジカンの後藤正文さんが過去に安倍政権に対して批判的なスタンスを取っていたことと結びつけて解釈する声も上がりました。この件自体が「あべしね」発言の直接的な再燃原因ではありませんが、アジカンや後藤正文さんに関連する話題として取り沙汰される中で、過去の炎上騒動を思い起こさせ、間接的に関心を高める一因となった可能性は否定できません。
2. アジカン後藤正文の「あべしね」炎上騒動は何があった?誰が関与しどこで起きたのか徹底解明

アジカン後藤正文さんの「あべしね」発言は、長年にわたり波紋を広げ続けています。このセクションでは、騒動の核心である「あべしね」発言が具体的にいつ、どこで行われ、どのような文脈で何があったのかを詳細に解き明かします。また、このパフォーマンスには誰が関与していたのか、そしてその後の経緯や社会的な反響についても、時系列に沿って徹底的に解説していきます。
2-1. 「あべしね」発言はいつ、どこで?2014年「さようなら原発全国大集会」での衝撃的なパフォーマンス
問題となったアジカン後藤正文さんの「あべしね」発言は、2014年9月23日(火・秋分の日)に東京都江東区の亀戸中央公園で開催された「川内原発再稼働するな! フクシマを忘れない! 9.23 さようなら原発全国大集会」というイベントのステージ上で行われました。この集会は、福島第一原子力発電所事故以降、高まりを見せていた反原発運動の一環として開催されたもので、主催者発表で約16,000人が参加したとされています。
当初、この集会の会場は代々木公園が予定されていましたが、当時問題となっていたデング熱の影響で急遽、亀戸中央公園に変更されたという経緯がありました。後藤正文さんは、この日のオープニングライブ(12:20開始の第一ステージ)に、謎の覆面バンド「エセタイマーズ」のメンバーとして出演しました。このパフォーマンス中に、問題の歌詞が歌われたのです。
この時期は、東日本大震災から3年半が経過し、原発再稼働の動きが具体化しつつあった頃であり、脱原発を訴える市民活動が活発に行われていました。そのような社会情勢の中で開催された大規模な集会での出来事であったため、その衝撃はより大きなものとなりました。
2-2. 問題となった歌詞と後藤正文さんの当時の説明は?何を言ったのか、その真意は?
「エセタイマーズ」のパフォーマンスにおいて、特に問題視されたのは、故・忌野清志郎さんが率いたバンド「ザ・タイマーズ」の楽曲「タイマーズのテーマ」の替え歌でした。後藤正文さんはボーカル&ギターとして、原曲の「もうやめたよタイマーズ」という部分を以下のように改変して連呼しました。
「もうだめだろ 安倍政権 もうやめとけ 安倍政権 あべしね」
この「あべしね」という直接的な言葉の繰り返しは、多くの聴衆に衝撃を与えました。曲が終わった後のMCで、後藤正文さんはこの歌詞について次のように補足説明を行いました。
「僕ら詩人でしょ? 比喩です。政治生命こそ死を、という意味で4文字の“あべしね”」
このように、あくまで政治的な生命の終わりを願った「比喩表現」であると釈明しましたが、名指しで「死ね」という言葉を用いたことのインパクトは大きく、この説明をもってしても批判の声が収まることはありませんでした。当日のパフォーマンスの様子はYouTubeなどにも動画としてアップロードされ(一部は後に削除されたり再アップロードされたりしています)、瞬く間に拡散されて大きな物議を醸すこととなりました。
2-3. 当時の反応はどうだった?参加者やネットの声、その後どうなった?
「あべしね」発言に対する反応は、当時から大きく分かれました。集会の参加者の中からは、「原発デモの趣旨にそぐわない個人攻撃だ」「場違いではないか」といった戸惑いや批判の声が上がった一方で、「忌野清志郎のタイマーズ精神を継承している」「よくぞ言った」と喝采する声も存在し、賛否両論が渦巻きました。
インターネット上では、この発言をきっかけに大規模な炎上状態となり、後藤正文さんやASIAN KUNG-FU GENERATIONに対する厳しい批判が殺到しました。その多くは、「ヘイトスピーチではないか」「表現の自由を履き違えている」「ミュージシャンが政治的メッセージを発信すること自体は良いが、言葉の選び方が不適切すぎる」といったものでした。
この騒動の後も、後藤正文さんは自身の政治的スタンスを大きく変えることはありませんでした。翌2015年に発行された雑誌『Rolling Stone Japan』7月号のインタビューでは、「どうやったら早く安倍政権が終わるか考えている」と発言し、引き続き当時の政権に対して批判的な姿勢を明確に示しました。
さらに2016年には、ニュースサイト「LITERA」が、後藤さんが学生団体SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)との連帯を示す発言をしたと報じ、これが再び「ヘイトスピーチか、それとも表現の自由か」という議論を巻き起こすなど、発言の影響は長期にわたりました。
2-4. 2022年安倍晋三元首相銃撃事件後の再炎上と後藤正文さんのSNS投稿とは?何を書いたのか、なぜ批判された?
2014年の「あべしね」発言騒動は、時を経て沈静化するかに見えましたが、2022年7月8日に発生した安倍晋三元首相銃撃事件という衝撃的な出来事をきっかけに、再び激しい炎上に見舞われることになります。
事件発生当日、後藤正文さんは自身のX(旧Twitter)アカウントに、「こんなことは許せない。安倍晋三さんの回復を祈ります」という趣旨の投稿をしました。具体的には、「最悪のニュースに動揺してほとんど動けずにいました。ここに言葉を綴るかどうかについても逡巡しました。こんなことは許せない。安倍晋三さんの回復を祈ります。」という内容でした。

この投稿に対し、過去の「あべしね」発言を知るネットユーザーから、「どの口が言うのか」「手のひら返しだ」「過去の発言を忘れたのか」といった批判が殺到しました。2014年のライブ映像が再び拡散され、過去の過激な発言と事件後の追悼的なメッセージとの落差が、多くの人々に強い違和感や不信感を与えたのです。
この再炎上を受け、後藤正文さんは2022年7月13日に自身のnote(現在は削除されているとの情報あり)でコメントを発表しました。その中で、「軽はずみな発言が“何を言ってもいい”というムードを助長したかもしれない」といった趣旨の反省の弁を述べたとされています。しかし、これが直接的な謝罪ではなく釈明にとどまったと受け止める向きもあり、議論はさらに長期化することになりました。「俺自身の胸に手を当てれば、過去に吐いた言葉の呪力で自分の心が焼かれるのは仕方がないことだと思う。表現の自由は、自由に評価されることを含んでいる」とも綴っていたと報じられています。
3. エセタイマーズとは何者?メンバーやモデルは誰?その活動目的や背景を深掘り

アジカン後藤正文さんの「あべしね」発言の舞台となった覆面バンド「エセタイマーズ」。このバンドは一体何者で、どのような目的で結成され、誰がメンバーとして参加しているのでしょうか。そして、その活動のモデルとなったとされる伝説のバンド「ザ・タイマーズ」との関係性とは。このセクションでは、謎に包まれたエセタイマーズの正体と、その音楽的・思想的背景に迫ります。
3-1. エセタイマーズのメンバー構成は誰?豪華メンバーが顔を隠す理由とその正体
「エセタイマーズ」は、その名の通り「偽物のタイマーズ」を意味する覆面バンドです。2013年頃から活動が確認されており、日本のロックシーンを代表する錚々たるミュージシャンが参加していることで知られています。公表されているわけではありませんが、その正体はほぼ特定されており、以下のメンバーで構成されているとみられています。
- Vocal & Gt: Gotch(後藤正文 / ASIAN KUNG-FU GENERATION)
- Ba: TOSHI-LOW(BRAHMAN / OAU)
- Gt: 細美武士(ELLEGARDEN / MONOEYES / the HIATUS)
- Dr: 恒岡章(Hi-STANDARD) ※2023年に逝去されました。ご冥福をお祈りいたします。
彼らがヘルメットやサングラス、包帯などで顔を隠してパフォーマンスを行うのは、元ネタである「ザ・タイマーズ」がKISSのようなメイクや覆面で登場していたスタイルを踏襲しているためです。また、個々のバンドの知名度やイメージにとらわれず、純粋にメッセージを発信するための匿名性や、ある種の「おふざけ」感を演出する意図もあるのかもしれません。
これだけのトップアーティストたちが集結していることからも、単なる遊びや余興ではなく、何らかの強い意志やメッセージ性を持ったプロジェクトであることがうかがえます。
3-2. エセタイマーズの元ネタ?ザ・タイマーズと忌野清志郎さんの影響は?その精神とは何か
エセタイマーズが明らかにモデルとしているのは、1988年から1989年にかけて活動した伝説の覆面バンド「ザ・タイマーズ(THE TIMERS)」です。ザ・タイマーズは、RCサクセションのフロントマンであった故・忌野清志郎さんが「ZERRY」と名乗り、TOPPI(三宅伸治さん)、BOBBY(川上剛さん)、PAH(杉山章二丸さん)と共に結成したバンドです。
ザ・タイマーズは、RCサクセションのアルバム『COVERS』が、収録曲の歌詞(特に反原発や反核のメッセージ)を理由に大手レコード会社から発売中止に追い込まれた事件をきっかけに、より直接的かつ痛烈な社会風刺や政治批判を行うために結成されたと言われています。彼らはヘルメットに作業服、サングラスといった出で立ちで、放送禁止用語を連発したり、ゲリラ的なライブを行ったりするなど、過激なパフォーマンスで当時の音楽シーンに衝撃を与えました。代表曲には「デイドリーム・ビリーバー」(モンキーズのカバーだが日本語詞は忌野清志郎さんによるオリジナル)、「偽善者」、「土木作業員ブルース」、「原発賛成音頭」などがあります。
エセタイマーズは、このザ・タイマーズの音楽性やパフォーマンススタイルだけでなく、その反骨精神、権力への抵抗、タブーに臆せずユーモアを交えてメッセージを発信する姿勢を継承しようとしていると考えられます。後藤正文さん自身も、忌野清志郎さんから大きな影響を受けていることを公言しており、エセタイマーズの活動は、清志郎さんのスピリットを現代に蘇らせ、「現代語訳」する試みであると解釈できるでしょう。
3-3. エセタイマーズの他の活動や楽曲は?どんなことをしているのか、フジロックでのパフォーマンスも紹介
エセタイマーズの活動は神出鬼没で、主に大規模なロックフェスティバルや社会的なメッセージ性の強いイベントで突如として姿を現します。スタジオ音源や公式な映像作品はこれまでにリリースされておらず、彼らのパフォーマンスは基本的に「現場限定」という点も、ザ・タイマーズのスタイルを踏襲しています。
「あべしね」発言があった2014年の「さようなら原発全国大集会」以外にも、以下のような出演歴が確認されています。
- 2014年7月: FUJI ROCK FESTIVAL ’14 “Atomic Cafe” – フジロック初登場。ザ・タイマーズの楽曲を中心に、原発批判のMCを展開。
- 2015年3月: Peace On Earth – 日比谷公園で開催された脱原発イベントに出演。
- 2017年7月29日: FUJI ROCK FESTIVAL ’17 “Atomic Cafe” – ジャーナリスト津田大介さんのトークセッション直後にサプライズで登場。「あこがれの北朝鮮」などを披露したとされます。
- 2021年8月22日: FUJI ROCK FESTIVAL ’21 – この年は昼のGypsy Avalonステージと、夜の「忌野清志郎 Rock’n’Roll FOREVER」ステージの両方に出演。特に雨上がりのトラックの荷台で演奏したパフォーマンスは大きな話題となりました。この際には、当時の菅義偉首相やネット右翼を揶揄する「ガースーもうやめてくれ」「ネトウヨやめてよ」といった替え歌を披露し、これもまた賛否両論を呼びました。
セットリストは、ザ・タイマーズの代表曲である「デイ・ドリーム・ビリーバー」「タイマーズのテーマ」「総理大臣」などを中心に構成され、歌詞をその時々の政権や社会問題に合わせて即興的に改変するのが特徴です。彼らのパフォーマンスは、常に強い政治的メッセージと、それをエンターテインメントとして昇華させようとする試みが共存しており、観る者に強烈な印象と問いを残します。
4. アジカン後藤正文の政治思想が左翼と言われる理由はなぜ?本人の発言や活動から徹底考察

アジカン後藤正文さんは、音楽活動と並行して社会的な発言を積極的に行うミュージシャンとして知られており、その政治思想が「左翼的である」と評されることが少なくありません。しかし、具体的にどのような発言や活動がそうした評価に繋がっているのでしょうか。このセクションでは、後藤さんのこれまでの言動、特に反原発活動や特定の政治的ムーブメントへの共感、そして政権に対する批判的な意見などを詳細に検証し、「左翼」というレッテルが貼られる理由と、彼自身の思想的背景について徹底考察します。
4-1. 後藤正文さんの反原発活動や社会的な発言とは?何をしてる?「THE FUTURE TIMES」創刊の背景
後藤正文さんの社会的な活動が特に顕著になったのは、2011年3月11日の東日本大震災と、それに続く福島第一原子力発電所事故が大きなきっかけでした。この未曾有の災害と原発事故を目の当たりにし、彼はミュージシャンとして何ができるかを模索し始めます。
震災直後から、ソロでのチャリティ活動を積極的に行い、ライブ会場などで募金(通称「ゴッサン基金」)を募り、その資金で被災地に物資を送るなどの支援活動を展開しました。さらに同年、後藤さんは編集長として、自費で「未来について考える新聞」と銘打った『THE FUTURE TIMES』を創刊します。この新聞は、震災後の日本のあり方、エネルギー問題、社会の仕組みなどについて、様々な立場の人々の意見や情報を発信し、読者と共に未来を考えていこうとするものでした。創刊にあたり、ソロ音源「LOST (feat. YeYe)」を配信限定でリリースし、その収益を新聞の運営資金に充てるなど、音楽活動と社会活動を直結させる動きも見られました。
これらの活動を通じて、後藤さんは明確に反原発・脱原発のスタンスを表明し、関連するデモや集会にも参加するなど、積極的に声を上げてきました。彼の発言は、単に感情的な反対に留まらず、エネルギー政策のあり方や持続可能な社会について深く考察し、問題提起を行うものが多く見られます。
4-2. 「SEALDsに共感」発言の真相は?どのような考えの持ち主で、なぜ支持を表明したのか
2015年頃から活発化した学生団体「SEALDs(シールズ:Students Emergency Action for Liberal Democracy – s / 自由と民主主義のための学生緊急行動)」に対しても、後藤正文さんは共感の意を示していました。SEALDsは、当時の安倍政権が進めていた安全保障関連法案に反対するデモ活動などを展開し、若者世代の政治参加の新しい形として注目を集めた団体です。
後藤さんはインタビューなどで、「SEALDsとか見ていると、『おじさんたちが黙っててどうするんだ』って、ちょっと恥ずかしくなりますし」と語り、彼らの行動力や問題意識の高さに敬意を表し、自らも行動しなければならないという思いを刺激されたと述べています。SEALDsのデモに参加したり、彼らの活動を支持するメッセージを発信したりしたこともありました。
このSEALDsへの共感表明は、後藤さんの政治的スタンスをより明確に示すものとして受け止められました。SEALDsがリベラルな政治思想を持ち、特定の政党や政策に反対の声を上げていたことから、後藤さん自身も同様の政治的志向を持つと解釈され、「左翼的」という評価を強める一因となったと考えられます。一方で、若い世代が主体的に社会問題に取り組み、声を上げることを応援する姿勢は、世代を超えた連帯を重視する彼の考えの表れとも言えるでしょう。
4-3. 「安倍政権が終わることを考えている」過去の発言内容とは?いつ、どこで何を語ったのか
「あべしね」発言騒動の翌年である2015年、雑誌『Rolling Stone日本版』7月号に掲載されたインタビュー記事で、後藤正文さんは当時の安倍政権に対して極めて批判的な見解を述べています。「今、どんなことにピンと来ていますか?」という質問に対し、彼は以下のように答えました。
「どうやったら早く安倍政権が終わるかっていうことを考えていますね」
さらに、「最悪のタイミングで、最悪の人が総理大臣になっていると思います」とも発言しており、当時の政権運営や政策に対する強い不信感と危機感を明確に表明していました。
これらの発言は、彼の政治的スタンスを非常に分かりやすく示すものであり、「あべしね」発言が単なる一過性の感情的なものではなく、彼の継続的な政治認識に基づいていることを裏付ける形となりました。このような直接的かつ強い言葉での政権批判は、支持者からは勇気ある発言と評価される一方で、反対の立場の人々からは過激である、あるいはミュージシャンが政治に口を出すべきではないといった反発を招き、「左翼」というレッテル貼りを加速させる要因ともなりました。
4-4. 現在の政治的スタンスはどうなっている?近年の活動から見える変化と不変
「あべしね」発言やその後の政権批判など、過去に過激とも受け取れる言動で注目を集めた後藤正文さんですが、近年の活動からは、そのアプローチに若干の変化が見られるものの、根底にある社会への関心や問題意識は変わらず持ち続けているように見受けられます。
現在の後藤さんは、かつてのような直接的で強い言葉での個人攻撃や過激な表現は比較的避ける傾向にあります。その代わりに、選挙への積極的な投票を呼びかけたり、新聞やウェブメディアなどでコラムニストとして健筆をふるい、政策や社会問題についてより建設的かつ論理的な意見を発信したりする活動に軸足を移している印象です。実際に複数の著書も刊行しています。
しかし、彼自身が明言するように「政治と表現は切り離さない」という基本的な姿勢は一貫しており、音楽作品の中にも社会的なメッセージを込めることは続けています。ASIAN KUNG-FU GENERATIONの楽曲や、Gotch名義でのソロ活動においても、現代社会が抱える矛盾や問題点をテーマにしたものが少なくありません。
2022年の安倍元首相銃撃事件後のSNSでの反省の弁(後に削除)にも見られるように、過去の自身の言動が与えた影響については自覚的であり、表現の方法については熟慮を重ねている様子がうかがえます。それでもなお、社会の不正や理不尽に対して声を上げ続けるというスタンスは、彼の活動の根幹を成していると言えるでしょう。この姿勢が、一部からは依然として「左翼的」と見なされる要因であり続けていますが、同時に多くの人々にとっては、社会と向き合うミュージシャンとしての彼の誠実さの表れと受け止められています。
5. まとめ:アジカン後藤正文「あべしね」騒動の経緯と政治思想、表現の自由と責任を考える
本記事では、ASIAN KUNG-FU GENERATIONの後藤正文さんによる「あべしね」発言を発端とする一連の炎上騒動について、その具体的な経緯(いつ、どこで、何があったのか)、関与した覆面バンド「エセタイマーズ」の正体(誰が何者なのか)、そして後藤さんの政治思想が「左翼」と評される理由や現在のスタンスに至るまで、詳細に掘り下げてきました。
この騒動は、単なる一ミュージシャンの過激な発言というだけでなく、現代社会におけるいくつかの重要な論点を私たちに提示しています。
- 政治パロディと個人攻撃の境界線:後藤さんは「比喩」と説明しましたが、固有名詞に「死ね」という言葉を結びつけた表現は、多くの人にとってヘイトスピーチや許容できない個人攻撃と受け止められました。風刺やパロディがどこまで許容されるのか、その線引きの難しさが浮き彫りになります。
- 映像アーカイブ時代の発言責任:一度ステージで行われたパフォーマンスや発言も、映像として記録されれば半永久的に残り、後年の文脈で何度も再評価されたり、糾弾されたりする可能性があります。発信者は、その場限りの熱量だけでなく、情報が可視化され続けるリスクを常に意識する必要があるという教訓を示しています。
- 表現の自由とその限界:ミュージシャンが政治的なメッセージを発信すること自体は、表現の自由の一環として尊重されるべきですが、その内容や方法が他者の尊厳を著しく傷つけるものであった場合、社会的な批判は免れません。自由には責任が伴うという原則が改めて問われます。
後藤正文さんの活動や発言に対しては、今なお賛否両論が存在します。彼の行動を支持し、その勇気や問題提起を評価する声がある一方で、その手法や言葉遣いを批判する声も根強くあります。この一件は、私たち一人ひとりが情報とどう向き合い、多様な意見が交錯する現代社会において、どのように建設的な議論を行っていくべきか、そして表現の自由とそれがもたらす影響について深く考える材料を提供してくれていると言えるでしょう。
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